おかしい酒
生きていくのもやっとの下戸ですが、お酒大好きです。
何度命の危機に直面しても(「最期の証明①・②」2月9日付 参照)、自宅に戻って風呂に入りながらつい、少しだけ、少しだけ。ああ酒浸りの日々。
美空ひばりの名曲『悲しい酒』が口をついてでます。
ひと~り ふろばで~ 飲む酒は~♪
・・・・「ある意味大変悲しい酒」です
日本酒に填ってしまったのは3年前。およばれした際に頂いたあるお酒が余りにおいしくて。
山形のお酒「ほめごろし」
3年間、なにげに飲み屋、酒屋、でせっせと探しました。同じく下戸のボスにも頼みました。銘柄を言ってもええっと聞き返されるばかり。どうしても見つかりません。
幻の酒、ほめごろし。ああ、ほめごろし。どこにあるのか、ほめごろし。
ところで、どこにすんでいるかも、名前もわからない相手を訴えることはできるのでしょうか。例えば自分にけがをさせた誰かわからない人に損害賠償を請求するとか。
民事訴訟では二当事者が対立していることが必要ですので、訴状が相手に届かなければなりません。住所、氏名がわかっていなければ訴状を送達できませんから、提訴できません。氏名は分かっているが現在の住所だけがわからないという場合には、最後の住所からたどってもどうしても住所がわからないことを疎明し、公示送達という方法で、相手に届いたことにして訴訟を提起することができます。行方不明の配偶者相手の離婚訴訟も可能です。
ただし、氏名不詳者でも、振り込め詐欺などでは特定可能性で提訴を認めた裁判例もあるようです(名古屋高裁金沢支部平成16年12月28日決定)
ただ、裁判に勝っても、強制執行できるかどうかと考えると厳しいと思います。
ところで、その後もほめごろしを探し続けた私。山形の酒屋ですら探し出せず、幻の酒と諦めていました。ところが、新橋のあるお店で偶然飲んだのは、あの酒です!あの酒!
みつからないはずです。
ななんとその酒の本当の名は「くどき上手」
えっ (´・ω・`)
そしてその聞き間違え方に涙を拭きながら笑う女将
転末を聞いて笑い転げるわがボス
酒よ こころが あるならば 昨日までのほめごろしを 消してくれ♪
・・・・「ダメ人間の味がします」
平成24年6月15日 文責 弁護士 菊谷淳子