ミモザノヘヤ

高田馬場の弁護士の日記です。

大事な初回

ちょっと遠方の事件の訴状を書いています、わが事務所は遠方の事件が多々ありますから別に珍しいことではないのですが。 真理の探究と物見遊山をモットーとしているボスがやってきまして、やるきまんまん♪で電車の時刻なぞ調べております。ボス曰く、 初回が大事ですから(⊙◞౪◟⊙)全国制覇がボスの夢です。 さて、管轄というのは通常の民事訴訟では何種類かの決め方がありまして、選ぶことができることが通常です。たとえば交通事故でいいますと、加害者の住所地、被害者の住所地、事故発生地、あるいは当事者が合意した場所といった何種類かのところから請求する側が自分にとって一番都合のいい場所を決めることができます。 しかし、一定の事件では管轄が決まってしまい、自由に当事者が決めることができない場合があります。 たとえば東京に住んでいる妻が鹿児島に逃げていった夫に同居を求める調停を起こしたい、といった場合、妻は鹿児島の家裁に申し立てをしなければなりません。 妻はお金がないので、弁護士費用の立て替えをしてくれる法テラスに相談しました、 法テラスは弁護士費用の立て替えはするけど、鹿児島までの交通費は奥さん自分で払ってね、と言いました。東京から鹿児島までの運賃、2回で立て替えてもらったはずの弁護士費用を軽く超えます。お金がないから費用の立て替えの申請をしたのに。 それじゃ弁護士は立てられないですね、と妻がしょんぼりしますと、法テラスは 鹿児島の弁護士さんに依頼してもらって電話だけでやりとりして下さいな(⊙◞౪◟⊙)慰めともだめ押しともつかない方法を提案し、電話はきれました。 いろいろ具体的なところは変えていますが、これは実話です。 民事法律扶助という制度を法テラスが運用するようになって、硬直化し、想定しうる事態に対処し切れていない一つの例です。 家事事件の多くは管轄を動かすことができません。地域を異にする場合も多々あります。当事者が遠く隔たった場所にいることも容易に想像できるはずです。でも、当然予想されるはずの交通費はでません。 電話でしか話したことのない弁護士に自分の人生を預けられましょうか、 法の支配をあまねく及ぼすという司法改革には期待できませんので、七夕とサンタさんに、この制度なんとかなりますようにと心からお祈り申し上げております。 そうそう、そんな天真爛漫なボスでさえ、行きたがらない裁判所があります。 裁判所のホームページで  最寄り駅の記載がない支部•(◞≼●≽◟◞౪◟◞≼●≽◟) です。 私の経験では。徒歩自体はだいたい50分程度、しかし行きと帰りで同じ日に電車に乗って帰れないところです。 平成25年5月27日  文責 弁護士 菊谷淳子  ※ 初回期日 被告はたいてい欠席するため3分程度で終了する。一番何もない期日であることが多い