ミモザノヘヤ

高田馬場の弁護士の日記です。

まぼろしの授賞式

ノーベル賞の発表があるたびに、

ひょっとして理学博士のボスの昔の論文がいきなり脚光を浴び・・・・

 という野望を旨に抱く菊谷です。
  通販で怪しい健康食品を買ったりもしますが、ボスはれっきとした理学博士。国会図書館に保存されている論文もあります。 今からでも遅くはない!  

 そんなある日、ボスが、アマゾンである本の書評を熱心に読んでいました。 タイトルは「ゲバルト○○」

聞いたことのない元素だなあ、コバルトの親戚かなんかかな、

まてよ ボスもついにやる気をだしたか( ◉◞౪◟◉)! 

喜びいさんでボスに、「ゲバルトって何ですか」と尋ねますと、 

ボス(´◑ω◐`) えっ      

 なんだかもじもじしています・・・・  
  ボス(´◑ω◐`) ゲバルト棒って、聞いたことない? 

水酸化ナトリウム水溶液に突っ込んだら泡とか出る棒ですか?

ボス(´◑ω◐`)   ・・・・

 さて、今日は化学のお話。中学高校の化学の時間におそらくみなさんはラボアジェという名前をお聞きになったことがあると思います。 ラボアジェ(1743年ー1794年)は、元素という概念を確立し、「近代科学の父」と呼ばれる人物です。 
 一番知られているところでは「物が燃える」ということが酸素と水素の結合であることを発見しています。  
 ラボアジェフランス革命で処刑されてしまいました。ラボアジェは実験のための費用を捻出するため徴税人という今で言う国税の仕事をしていたのですが、このことが原因で処刑されてしまうのです。
 徴税人は暴力を用いたり、実際の税金の数倍も徴収することが多かったので革命前のフランスでは大変嫌われていました。ラボアジェが過酷な取り立てをしていたかどうかはわかりませんがむしろ税金を減額する申請をしていたという記録はあるようです。
  フランスの名誉ある科学者なので処刑しないで欲しいという嘆願も出たようですが、革命裁判所は「革命には化学者はいらない」と一蹴し、彼は処刑されました。
  一説によると当時の革命家であり化学者でもあったジャン・ポール・マラーがかつて学会に提出した論文が審査を担当したラヴォアジエによって却下されたことへの逆恨みによるものである、とも言われています。 
 司法権は人権保護の最後の砦といわれていますが、行政、立法、司法のいずれかが不健全なアレになってしまったら、裁判は単なるおもちゃになってしまいます。裁判の信用というのは国家機構が健全であってこそ。 

 さて、私はなおも希望を捨てていませんよ。ボスの授賞に。授賞式は参列しますよ。

アメリカで。   

祝  イグノーベル賞 

平成27年4月23日   文責 弁護士 菊谷 淳子  
 ※ ゲバルト ドイツ語で「暴力」という意味。左翼活動という分野で使われるそうです。  
 ※ イグノーベル賞 人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられる賞。ノーベル賞ではないので授賞式はオスローではなくハーバード大学で行われ、受賞者は自費で参加するが受賞を怒って取りに来ない人も多い。