遥かなり安住の地
老後は木のぬくもりとともに夏はツリーハウス、冬はログハウスでのんびりまったりしたいなあ・・・・
ネットで探してみよう。北欧の輸入物から、こじんまりとした木の家、いいねえ。おされだねえ。
ええっと、将来私に買えそうなのは・・・・
しかたがない。戸山公園あたりで自前で調達・・・・
と暗い老後の設計を立てていますと、隣で頼れる同僚はキャンピングカーを探しています。
一所に落ち着いてすむより、日本各地を転々としてみたい・・・・そうです。
いいねえ。
多分、中川も同じことを考えているのでしょう。
家を買うより安く
安住の地を求めるのは本当に大変です。
ところで、安住の地を求めるのは何も老後だけではありません。
子どもたちだってそうです。
28歳の母親がゴルフクラブで11歳の女児を殴り殺して逮捕された事件で、この女児が二度も養護施設に保護されていたという事実です。何で親元に戻したのか。
小学校6年生の長女が精神疾患を患っている母親に刺殺された事件でも、この子は保護センターから「安全だ」として戻されていました。
親元に帰すのは非常に簡単なようです。不思議なくらい。
他方、このような施設から親権者以外の安全な場所に引き取らせるためには、ものすごい時間と努力が必要です。
あろうことか私の知る限り児童相談所は必ずこう言います。
親の同意がないから渡せない
初めて聞いた時は聞き間違いかと思いました。
行政には「行政の裁量」という広範な裁量権があります。本来はその分野の専門性を有している行政機関が判断することが一番合理的であると考えられているからです。
しかし、実際には「前例がない」という壁に阻まれてしまうことがほとんどです。
人間の絡んでいる事件は、似たような事件があっても、それぞれに個別具体的な事情があり、決してみな同じではありません。ですから前例がないことの方が当たり前なのです。
特に児童虐待の最前線では個々の事例の特殊性は大きいはずです。
大事なことは、行政の、自分たちが専門性を有し、裁量権を与えられているという矜持
お願いですから、誇りをもって仕事をしていただき、
本来的な合理的な、まっとうな判断をしていただきたい。
前例にしばられ、子供を危険にさらす判断は決してしないでほしい、と切に願っています。
ところで、そのキャンピングカーおいくら万円?
中川が震える声で答えます。
・・・・・長期で住めそうなのは1000万
2人ともじっと手を見る・・・・安住の地は遠し
平成24年10月3日 文責 弁護士 菊谷淳子
<お知らせ>
10月27日 銀座「画空間」にて、短い方菊谷と長い方中川がちょっとした茶話会を行うことになりました。もし、よろしければのぞいてみてください。
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