ミモザノヘヤ

高田馬場の弁護士の日記です。

●●●お断り

  先月受けた健康診断の結果が割と深刻なことになっていまして、病院での精査と治療を要するようです。しかしここのところ当分忙しく、だましだまし先延ばししているおっかない日々です。 昨日、自宅に戻って郵便受けを開けますとシュールなビラがたまっておりました。 悔い改めよ、神の國は近づいた 電話一本!遺品整理 どうもご親切、いたみいります。  ところで、たとえばマンションなど集合住宅の集合ポストに「ちらしお断り」と書かれているとき、そこにちらしやビラを入れるために敷地に立ちいることは住居侵入罪(刑法130条前段)にあたるのでしょうか。  住居侵入とは、判例上、管理者の意志に反する立ち入りと言われています。ですから「チラシお断り」と書いてあれば、チラシ配布の目的で敷地内に入ることは管理者の明示した意志に反するので住居侵入罪が成立しうることになります。  ですが、だからといってそのビラ配りが法律で処罰される程度に違法なものか、ということになりますと、個別具体的な事情が分かれます。  裁判例にもこのビラ配りをめぐって住居侵入罪の成否が争われたものがあります。  この点、マンションに政党のビラを配布するために立ち入った行為につき、「表現の自由の行使のためとはいっても、そこに本件管理組合の意思に反して立ち入ることは、本件管理組合の管理権を侵害するのみならず、そこで私的生活を営む者の私生活の平穏を侵害するもの」とした判決があります。(最高裁小法廷判決平成21年11月30日)   ただし、この事案では、マンションの戸別のドアポスト前まで立ち入っていたものですから、集合ポストとなると事情が異なる点が要注意です。     それにしても調べてみると、判決で問題になったのは、政治ビラや反戦ビラがほとんど。  それも特定の政党のビラに集中しているような気も・・・・  表現の自由憲法21条1項)を日本国憲法で保障した趣旨は、国民が正しい知識を得て、しっかり考えて国政に一票を投じるように、というものです。   ですから表現の自由本来は政治的言論に向けられて保障されたものです。営業的自由よりは、より大切にされるべきなのですが。  ピザ屋やステーキハウスのようなビラは大目に見るけれど、政治のビラは私生活の平穏を害する、ということならば本来の表現の自由保障のあり方に逆行するように思います。     ところで、私の家に投かんされるビラの主なものにはもう一種類あります。   債務整理系弁護士事務所   いろんな意味でこれが一番がっくりきます。     平成24年10月1日  文責 弁護士 菊谷淳子 <お知らせ>   10月27日 銀座「画空間」にて、短い方菊谷と長い方中川がちょっとした茶話会を行うことになりました。もし、よろしければのぞいてみてください。   お知らせはこちら   お問い合わせはこちら keyakilaw@gol.com