ミモザノヘヤ

高田馬場の弁護士の日記です。

黄金輝く国から④老いも若きも

歩道橋で辞世の句が浮かぶくらい、私は高いところが苦手です。 004.jpg ですが、乗るのはこのセスナ 052.jpg 私達は操縦席の真後ろの席でした。この飛行機、落ちたら間違いなく常世の国直行便。 ですが、下を見せるためにものすごい急角度で旋回します。これ以上傾斜つけたら失速するんじゃ・・・・と思うと手に汗が・・・・ 操縦しているのは10代後半から20歳くらいの若いパイロットです。でもアントニオ・バンデラスの落ち着いた初老のおっちゃんが横についています。今日はカウンターでは新人の訓練で飛行します、と言ってたっけ。 たのむぞアントニオ(ლ ^ิ౪^ิ)ლ(ლ ^ิ౪^ิ)ლ さて、各都道府県(東京では三つ)の弁護士会があり、そのそれぞれに会長、副会長、といった役職があります。そしてそれは選挙で選ばれることになっています。実際には「派閥」で人事を決めているところもあるようですが、一応は選挙、ということになっています。 いつも選挙で熱いとある弁護士会の選挙で、とうとうこんな公約を掲げる副会長候補者が現れました。 弁護士会を任意加入団体にする」 弁護士会は、強制加入団体です。全国のどこかの弁護士会に加入しなければ弁護士を名乗ることができません。弁護士会は各弁護士に対して、退会命令も含めた懲戒権を有しますが、これは強制加入団体だからこそ有する権限です。任意加入団体にする、ということは懲戒権を弁護士会から取り上げるということです。 戦前は司法省が弁護士を統括していました。しかし、それでは刑事事件や、国を被告とする民事事件に関与する弁護士に国が容易に介入することができるという危険性があります。弁護士が国に刃向かうことができなくなるのです。そこで、戦後の民主化の一環として、弁護士会が弁護士への懲戒権を有するようになったのです。 市民の人権を守るという弁護士の役割は国に監督させない、ということで護られているのです。 それでも弁護士自身からこういう公約がでてくるのは、若手弁護士が収入に比して高い会費を払わされていることへの不満もさることながら、弁護士会への失望もあるのではないか、と思います。 今はまだこの候補者の公約は「特異な主張」だと受け止める弁護士も多く、それで弁護士会が任意加入団体になるなんて思いもしない弁護士も多いだろうと思います。 しかしいわゆる新司法試験以来の弁護士はすでに会員の半分に達します。その中にはかつての弁護士程の収入に満たない収入の弁護士も少なからずいるはずです。彼らだけではありません。高齢なベテランの弁護士にも、会費の負担に耐えかねて賛同する弁護士が現れるはずです。 そして国は、自分たちの監督権限強化を喜んでお膳立てしてくれます。 弁護士会は永遠のものではないかもしれない、という危機感を持たない弁護士会本当に任意加入団体になってしまうかもしれません。 さて、ぎりぎりの角度での旋回、意外に上手です。しかも、いざとなればアントニオ、と思うと不安感も消え、しっかり楽しんみました。 かっちょいいのも 080.jpg 落書きみたいなやつも 094.jpg 飛行機が恐ろしい旋回を繰り返していたとき、反対側に座っていた中川が恐ろしいことを言い始めました。 アントニオ、必死でマニュアル見てるよ (◞≼☉≽◟◞౪◟◞≼☉≽◟)(◞≼☉≽◟◞౪◟◞≼☉≽◟) 二人して知っている神様全員にお祈りしながら地上絵どころではなく天を仰いだことは言うまでもありません。 平成27年1月31日 文責 弁護士 菊谷淳子