ミモザノヘヤ

高田馬場の弁護士の日記です。

予期せぬ迎え

日曜、ひどい風邪をひきました。

 

2,3日前ボス(⊙◞౪◟⊙)が咳き込んでたことをさりげなく思い出します。

 

熱が少しあろうが鼻水が出ようが、書面はかかなきゃいけないし、 風邪を引いているのなら事務員のいない日曜が一番なので、 這ってでも日曜出勤するはずなのですが 歩くこともできないくらいの頭痛。 痛すぎて、眠ることもできません。

 

場所が場所なので、後遺障害が残ったりしても大変だし、 救急車を呼ぼうか、どうしようかためらいながら布団の中でうずくまっていました。 救急車というのは、事故や災害、心筋梗塞脳梗塞などの重病の方を運ぶもの、 と考えている私にとって、私なぞのために救急車を呼ぶなんて、ちょっと気が引けます。

電気毛布のせいで脚だけどろどろにとけた孤独死体にならないよう、電気毛布の電源を切り、 部屋で布団にくるまって、頭痛をこらえてうなっていました。 痛すぎて意識が遠のいて行く中、遠くからサイレンが聞こえてきました。 ついでに乗せてくれないかな・・・・ 突然玄関のドアがバンバン叩かれました。

 

おかしいな、電話していないのに・・・・

 

 さて、民事裁判で、裁判の当事者でない事情をよく知っている第三者に証言して欲しいとき、 「証人尋問の申出」をすると、尋問に呼んでもらうことが可能です。 では、その呼ばれた第三者は証人尋問を拒否できるのでしょうか。

  実は、日本では、原則として、出頭義務、宣誓義務、供述義務という公法上の義務があります(民事訴訟法190条)。正当な理由なく出頭しないときは、10万円以下の罰金または拘留に処せられることがあります。 ですから気乗りしない、行きたくないから証言しない、などということはできません。

  証言拒絶をする場合にはその理由を具体的に説明し、裁判所の判断を求めなければなりません。 で、証言拒絶が認められないのに行かないぞという場合には「勾引(こういん)」という手続きで、無理矢理お越し頂く制度があります。 裁判所が強制的にお連れするのです。

 

  と言いたいところですが、実は法文上そうなっているだけで、 実際に民事で勾引が行われることはまずありません。

 

さて、おそるおそるドアを開けると、そこには消防士さんが二人。

 

(◞≼●≽◟◞౪◟◞≼●≽◟)はて?

 

「すぐ近所で火が出ています。一応、念のため避難してください」

 

 その後のことはよく覚えていないのですが、看護師さんが笑いながら教えてくれました。 ボヤの注意をしにきた消防士さんに風邪で動けませんのでここで果てます。

 

といって布団に戻ろうとした私。 救急隊員が運び出したそうです。

      平成29年2月24日 文責 弁護士 菊谷淳子