ミモザノヘヤ

高田馬場の弁護士の日記です。

奇妙な果実

家移りを計画中の友人に頼まれ、別の友人と三人で内見に行きました。

 友人は石橋をたたき割ってから渡る慎重な性格。 もう一人の友人(弁護士)には法的アドバイスを、菊ちゃんにはそれ以外のアドバイスを頼むわ~とのことでした

 

はて?(◞≼☉≽◟◞౪◟◞≼☉≽◟)

 

小高い丘の上の公園の隣の素敵なお部屋。二面採光の日当たりと風通しのよいお部屋でした。 私自身は、サンルームに住みたいくらい、窓の大きな家が好きです。 過去に、三面窓という飛んでもない物件(5階にあって外からは中が見えない)を内見し、その開放感に住む気満々だったのですが、お風呂が汚くて断念。しかし今でもそのお部屋が夢に出てくるくらいです。

 

 そのお部屋、窓がとても大きくて、私好みの部屋でした。窓の外には公園の緑。 窓のすぐ横には、見事な枝振りの大木が一本。 私が住むのじゃありませんから、収納なんかどうだっていいんです。

 いい部屋だねえ。 と言おうとした、そのときです。ビリー・ホリディの名曲がふと口をついて・・・・ ♪ Southern trees bear strange fruit (南部の木には奇妙な果実がなる)

 

 さて、法律の世界にも果実というものがあります。わかりやすく言いますと建物を貸して入る賃料などがこれにあたります。 ある人が不動産を遺して亡くなり、3人の相続人で遺産分割の結果、1年たってその不動産をAさんが相続することが決まったとします。では相続人が決まるまでの1年間の不動産から発生した賃料は誰のものになるのでしょうか。

 遺産分割の結果は相続開始の時にさかのぼるという条文があります。そうすると相続したAさんのものにさかのぼって認められるかというとそうではありません。遺産分割までの間はその不動産は共有で、賃料は発生する都度、三人が等分に得てしまっていたということになります。つまりその1年間の賃料は三人等分です。

 

 

 本当に、ふと口をついて出てしまったのです。うそじゃありません。 立ち会いの不動産会社の方は,幸いにもビリーホリディを知りませんでした。

 しかし振り返った友人二人は、 お通夜のような顔をしていました (΄◞ิ౪◟ิ‵ )(΄◞ิ౪◟ิ‵ )

 友人は、その物件をやめ、その次の次に見た物件に決めました。

   平成27年7月21日 文責 弁護士 菊谷 淳子

 

※ ビリーホリディ(1915ー1959)とても有名な黒人歌手。代表作、Strange Fruits (奇妙な果実)は黒人への差別と虐待を訴えた名作。奇妙な果実の意味は・・・・ググって下さい。