冷たい順番
MRI撮影のため都内某病院に行きました。
この病院では地下一階が放射線科です。地下のせいか節電のせいかとても薄暗くひんやりしています。
オレンジのラインに沿って3番の部屋へ、と受付で言われました。
人気のない薄暗い廊下を暫く歩いて行くと頼みの綱オレンジラインがちぎれています。
その先には部屋が二つ並んでいました。
はて、どっちだろう
一つ目を開けてみました。
すでに何人かストレッチャーに乗って並んで順番待ちをしていました。
誰もひと言も発しません。
皆さん白いシーツを被って、顔は見えません
ずいぶん陰気なMRIだねえ(΄◞ิ౪◟ิ‵ )
朝も早くて私は大変眠かったので早く腰を下ろしたい。眠い眠い眠い。
はしっこのあいているストレッチャーによっこらしょっと・・・・
ああ眠いなあ。なんだかうしろから足音が・・・・
さて、裁判と順番待ちのお話。
法廷が超大入り満員になるのは、有名人の事件や有名な事件だけではありません。
簡易裁判所では何件もの裁判が同じ期日にばしばし入っていて、同時に10組くらいは法廷にひしめき合っています。順番待ちです。外に溢れている代理人がいるときもあります。もちろん当事者はお名前を呼ばれますし、期日表には事件名(貸金返還請求事件)などと言った記載もあります。プライバシーだだ漏れで見知らぬ沢山の人達に自分の事件の中身を聴かれるなんて恥ずかしいと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
裁判ではプライバシー保護より重んじられる考えがあります。それは裁判の公開といって密室裁判による不公正を防ぐことです。誰がいつ裁判にかかっているのか裁判の事実自体も後悔されていることも大事なことなのです。
もちろん、プライバシー配慮が全くなされないわけではありません。証言者や当事者がみだりに他人の目にふれないようにしたり、性犯罪の事件などでは被害者名が秘匿されることもあります。
上記の簡易裁判所の場合、込み入った話はちゃんと別室でそれぞれお話ししますので、つっこんだことまで他人様の目に触れることはあまりありません。
それに大丈夫なんです。
皆さん自分のことでいっぱいいっぱいですから。
ただ、疑問ですが、ごく規模の小さな町の簡易裁判所だとどうなるのかな?という気もします
いつかは小さな町の簡易裁判所に行って確かめてみます。
さて、察しのよい方はすでに気づいておられるでしょう。
私の入った部屋は、確かに待合室は待合室なんですが、死亡して退院を待っておられる方々のお部屋。気持ちよく寝入ってしまった私を捜して半笑いだったMRI撮影のお姉さん。
隣の部屋のMRIは気のせいかなんだか焼き場の釜のようでした。でも横にはなれる。よっこらしょっと。
しかしお姉さんのひと言で、霊安室で寝転がっていた時すら感じなかった恐怖来訪。
「はい、金属とか入っていませんね。入っているとこんがり火葬ですからね」
入れ歯はないし、金属もないし、ピンもつけてない、ピアスは外したし、ええとネイルのホログラムは大丈夫かな
火葬の恐怖でまんじりともできなかった30分間でした
平成26年9月8日 文責 弁護士 菊谷淳子