ミモザノヘヤ

高田馬場の弁護士の日記です。

偉大なる足跡

とある田舎の裁判所。 表は普通の小さな裁判所なのですが、裏の方は、土の道が続いていてその少し先に時間をつぶせるいつもの施設がありました。 その日は雨が続いていたころだったので、近道がぬかるんでいました。 私と同じ道をたどっている大きな足跡に気づきました。 この大きな足跡の持ち主も同じ道をとおって裁判所へ向かっているようです それにしても大きな足だな、何センチくらいあるのかな、21.5センチの自分の足とちょっと比べてみたくなって。その足跡に自分の足を合わせてみました。 が、私は忘れていました。 足跡が大きい、ということは一歩の長さも違うわけです。 どさっ 泥にヒールをとられ、泥の中にどぼん。 勝手に比べた自分が悪いのに、なんだかあの大きな足跡のせい(΄◞ิ౪◟ิ‵ )、のような気がしてなんだか悔しく思いました。 さて「泥沼 裁判」で検索しますと、なぜかある有名人の離婚事件ばかりでてきます。 調停ならともかく、裁判上の離婚原因は民法所定の離婚事由が認められないと認容されません。 だいたい問題になるのは「婚姻を継続しがたい重大な事由」(民法770条5号)があるかどうかです。 この有名人の事件では週刊誌が「泥沼」と言っているのは双方の悪口合戦のことを言っているようですが、そういうものはすでに破綻して、関係回復は見込めないのは明らかですから、離婚が認められる方向に傾きやすいのです。ですから、泥沼、という程長期化するわけではありません。 実は本来の意味での「泥沼」は離婚自体には争いのない場合こそよく発生します。 それは財産分与でもめているときです。 隠し預金について裁判所の力を借りて明らかにする調査嘱託、という制度があるのですが、この制度もばしばし使う裁判官と、いやがる裁判官とがあり、いやがる裁判官にあたると非常に難航します。 婚姻中はそれぞれの名義であっても共有財産です。 だとしたら離婚が成立していない以上共有財産なのだからその情報は双方ちゃんと調べられていいはずなのに、なぜ裁判官は調査嘱託に抑制的なのでしょうか。 私は弁護士になって1年目のときにあたった裁判官がばしばし調査嘱託をかける裁判官だったので、そういうものかな、と思っていたくらいですが、最近非常に抑制的な裁判官によくあたります。不思議です。 さて、気を取り直して、そのまま書記官室へ。密室です。どうせあまり人はいませんから。 書記官はあ、あの道をね…•(΄◞ิ౪◟ิ‵ )という顔をしていました。 裁判官は心なしかさては…ぷっ(΄◞ิ౪◟ิ‵ )という顔をしていました。 が、そのとき。 お裁判官のあしもとが…。 おぬしか(◞≼●≽◟◞౪◟◞≼●≽◟)!   平成25年11月20日  文責 弁護士 菊谷淳子