ミモザノヘヤ

高田馬場の弁護士の日記です。

夜歩く手

帰宅途中にいつもみかける野宿のおじさんがいつものねぐらからいなくなりました。

 

身なりはいつもこざっぱりとさせ、夜明け前にきちんと起きだして寝ている場所にちりひとつのこさない。

 

何か事情があって家賃が払えなくなって、野宿しているのでしょうか。

 

去年の秋ごろからみかけるようになったと記憶していますが、冬の寒い時期などはとても気になっていました。 亡くなったのだろうか このあたりは変な学生もたくさん居ます。

 DQNにいじめられたりしてないだろうか

 

 おっちゃん死んだらあかんで

 

帰宅する際ちょっと遠回りして探してみようかな。 実は毎年クリスマス、野宿のおじさんたちに新しい靴下を一足ずつこっそりプレゼントしています。

なので大体ねぐらになりそうなところは知っています。

 

 さて、ホームレスが公園に張ったテントを住所と主張してそれが認められるのか争った事件で、裁判所は「住所とは生活の本拠である」といった上で、「その生活の本拠は生活の実体から客観的に判断する」としています。

 ただ、同じ規範を使いながら、第一審はテントを住所と認め、第二審、最高裁は認めませんでした。 同じ基準で判断しているのに、と思われるかもしれませんが、それは判断の要素に対する重点の置き方が違ったからです。

 第一審は、公園の利用許可を得ていたわけではなく、占有権限は認めるに足りないが、朝晩起き伏し、食事をとり、仕事に出かけて戻ってくる、という生活の実体を重視したのに対し、 第二審・最高裁は、そもそも占拠していることが都市公園法に違反して違法な状態なのだから、という点を重視しました。

 裁判所の判断は、同じ要素を考慮するとしてもその要素にどれだけ重きを置くかで結論が正反対になることもあります。上記の裁判例では、それが如実にでています。

 ただ、違法に公園を占拠していて住所とはないだろう、という価値判断が先行しているように私には思えるのですが。

 

 さて、おじさんのことが気になっていたこのごろ。 たまたまなんですが、懇意にしているご近所の不動産屋さんから、気になる話をききました。

 毎晩明け方近くに女の幽霊がぼんやり歩いてくるので怖くなって野宿をやめて生活保護の申請をしたお客さんがいる 先生んとこの近所の話だから気をつけてね~  とその不動産屋さんはおっしゃっていました。

 

もしや(΄◞ิ౪◟ิ‵ )

 

 あのおじさんだったらいいな、と思ったり思わなかったり。

 複雑な心境です(΄◞ิ౪◟ิ‵ )。

    平成28年11月30日 文責 ぼんやり歩く女の幽霊