ほのかな恐怖世界 第1夜 その弐
お仏壇がそのままになっている部屋に踏み込んでいるんですもの、怖いですよ。
駆けつけてみると
ボスの顔面に黒いボストンバッグくらいのもさもさした固まりが突然飛びついていたのです一瞬本当にもののけかなんかと思って
先生すみません、置いて逃げるところでした
お仏壇がそのまま放置されていただけで、恐怖感倍増です。
任意の明け渡しに際し、明渡合意書作成時に必ず「残置物の所有権放棄」の条項を入れておかなければなりません。自力救済禁止の我が国の法律の下では、自己の敷地・建物に放置された他人の所有物を勝手に処分することはできません。それは自力救済を認めてしまうと秩序が保たれなくなるからです。
ところが、仏壇、遺牌、遺骨、など個人にとって心理的な価値の重大なものに関しては、残置物の所有権放棄条項を入れていても慎重を期して意思確認を入念に行っておかないとと後に慰謝料を請求されてしまいます。
そういう意味でもお仏壇はおっかないのです。
ボスに飛びついたのはこの家をねぐらにしていた太っちょの黒猫でした。入り込んで寝ていたようです。が、出口なんかないのにいつの間にか消えていました。
ボスはしばらく顔にちょっとぶつぶつができ、かゆいと言っていました。
黒猫のたたりです、ボス。
ネコのノミじゃないですって・・・・
平成24年8月15日 文責 弁護士 菊谷淳子
明日から本当に怖いお話を書きます。 人気のないところでは読まないようにして下さい。