ミモザノヘヤ

高田馬場の弁護士の日記です。

ほのかな恐怖世界 第2夜 幸福な母子

私が今の家に越してきてすぐ、上品で素敵な親子連れに通勤時によく出会うようになりました。とてもかわいらしいかんじの30歳前後のお嬢さんとその母親とみられる上品なおば様。そしてお二人で乳母車(首が据わっていない状態のあかちゃんの)を引いていらっしゃいます。

普段、物騒な仕事しておりますので、幸せそうな人を見るのはちょっとうれしいものです。また、お二人のさわやかなこと。初孫なのでしょうか。お産で里がえりされているのでしょうか。ほろがかかっていて赤ちゃんは見えませんが、乳母車からして生まれたばかりなのでしょう。声をきいたことはありませんが、とてもおとなしい子なのでしょうか。

いつしか、すれ違うたびに、上品なおば様とも娘さんとも、こんにちは、今日も寒いですね、とか、いってらっしゃい、とか会話を少し交わすようになりました。

いいなあ、と思います。本当に幸せそうなお二人です。

ところで、里帰りで何気なく思い出したのですが・・・・

物騒な世界の話で恐縮ですが、日本の離婚給付には算定表というだいたいの基準があり、審判になるとこれを大きくはずれて多額の婚姻費用(婚姻中の妻の部分も会わせた生活費)・養育費(離婚後の子どもの生活費)が認められることは殆どありません。

 たとえば、夫給与所得600万円、妻専業主婦、子1人15歳未満という場合の養育費ですと算定表では6~8万円となります。しかし我が国の家賃は高く、特に都内では家賃は安くとも7、8万円はしますので、この算定表の金額だけで生活することは困難です。

離婚して子供を連れて実家に帰る、というと何とも古い話のように思われそうですが、決して過去の話ではありません。

しかし実家に戻る、という選択肢がまだ残っていればまだましです。、都内の方はご実家が遠方の方も多くおられ、必ずしも頼れる実家があるわけではありません。

とまあ相変わらずアレな話を思い出しながら・・・・・

さて、その母子連れにはほぼ毎日お会いしています。毎日同じように、同じ乳母車をひいて。こんにちは、とか、いってらっしゃい、とか普通の会話を今も交わしています。でも、でも。

私は今の家に越してきてもうすぐ4年になります。

平成24年8月16日  文責 弁護士 菊谷淳子