ほのかな恐怖世界 第3夜 いるはずのない者 壱
学生時代、期間限定のお化け屋敷のバイトをしていました。そこは、場所がら本物が出るという有名な場所でして、夏でも本当にひんやりして、クーラーいらずの場所でした。
私の担当は「首洗いの井戸」で、たった一人井戸の横に座って、生首を洗うだけです。
こう言ってはなんですが、私、お化けの役は上手なんです。
座っているだけでそりゃあもうぎゃあぎゃあ泣きわめいてもらいました。
天職でした
あることに気づくまでは、すごく楽しかったのです。
なんかよく見かけるお客様がいる
((((;゚Д゚))))))ガクガクプルプル
お化け屋敷なんかそう連日来るような場所じゃありません。なのに、いつも一人でぼっと歩いている男性が一人。なんか、金槌みたいなものを持っています。
頭の中のテロップ流れます
「お化け屋敷に男性乱入、金槌で殴打 女性アルバイト1名重傷」
幽霊だったら怖くありません。怖いのはアレなお客様です。
とおりがかるお客様全てに対するスタンスが変わります。
熱烈歓迎、お客様
できるだけ長くここにいてください
私を一人にしないで・・・・
ゆかせるもんですか
お化けの本気度、いや、必死度が上がります。
でも本当に恐ろしかったのです。びくびくしながら、毎日過ごしました。
で、ある日のこと、とうとう事件が起こります。
平成24年8月17日 文責 弁護士 菊谷淳子