私の母は、子供の学校行事にはあまり行きたがらなかったので、「個人面談」はいつも、先生との交渉から始まりました。
最近は保育園でも幼稚園でも、母親だけでなく父親参加型の行事が多いようです。
趣旨としては、子育てへの父親参加の促進、というところでしょうか。
しかし、そんな行事の陰で、肩身の狭い思いをし、肩を落とし、震えている子どもたちも大勢います。
どの子にも、両親が来てくれるとは限らないのです。
この日にもしかしたらお父さんが来てくれるのではないかと期待して待っている子
父親が決して来ないことを知っていて、その瞬間が過ぎ去ってしまうことを必死で祈っている子
厚生労働省の平成20年の統計では日本での離婚件数は年間約25万組。その殆どが20代から30代の、小さな子供がいてもおかしくない世代です。
決して少ない数字ではありません。
しかし彼らは決して多数派ではないのです。
この父親参加型行事のまやかしは、そもそもその様な行事に参加することのできる父親を持つ子は普段から父親と接する機会が十分あるであろう点にあります。
むしろ、家庭の中でそのような思いをすることのできない子供が、家庭の外であるはずの保育園・幼稚園で、まざまざと現実を見せつけられることの残酷さ
そして深刻なことに、お父さんが来ないことを誰にも知られたくない子もいるのです。
それは幼稚園などで、子供どうしで喧嘩をした場合、「あの家は母子(父子)家庭だから」と言われてしまうことがあるからです。
子供でも、そういう差別を受けていることは十分分かっているのです。
行事は避けられないとしても、もう少し現場で様々な背景をもつ子どもたちへの配慮はできないものでしょうか。
それともう一つ、弁護士として頭を悩まされている問題がありますが、それはまた次の記事でお話します。
2011年1月6日 文責 弁護士 菊谷淳子