黄金輝く国から⑧ 縁起のわるいホテル
アマゾンから空路リマに戻り、最終日、リマでガイド付き半日観光をしました。それまで出会ったペルー人ガイドさん達はいずれもてきぱきとした、それでいて話も楽しい素敵な人達でした。しかしこの日のガイドは、60代の日本人のおっちゃんでした。
このおっさん、空気読めず自慢たらしく上から目線、一言を伝える文章が長く、ちっとも面白くない。自分では丁寧にしているようなつもりでしょうが、偉そうです。たぶん最近まで日本にいたのでしょう。この地のおっちゃんたちはもっと親切だし、かわいいです。
面白くない長いうんちくに殺意すら発生し始めていた時、おっさんが、「あれが最高裁判所」とある場所を指さしました。
一応、写真を撮っていましたら、おっさんは続けました。
最高裁判所の向かいに昔刑務所があって、その場所に今はシェラ○○ホテルが建ってるんだけど、刑務所には刑場もあったから、あのホテルはよう死人がでるんですよ。特に女性の飛び降り。
これがおっさんの長かった話の中の唯一のハイライト
私も中川もあのシェラ○○に国際会議のためお泊まりになるであろう各国要人に心からお悔やみ申し上げるとともに自分たちにもお悔やみ申し上げました
ところで、ペルーでは離婚について裁判離婚しかみとめていません。そしてこの離婚裁判は手続きが複雑で何年もかかると言われています。こういった長期化する裁判を裂けるために法律婚を避けるペルー人カップルもいるそうです。ということですから、日本法上の届出もペルーでの婚姻手続きもきちんとしていたペルー人と日本人の夫婦が離婚する場合には、どちらの手続きも踏まなくてはなりません。
この場合離婚するために日本での離婚手続きだけで済ませるには、協議離婚をしてしまってはだめで、審判離婚にしてペルーに届け出る際「日本で裁判離婚をした」と見なされるようにする必要があります。
日本での離婚手続きだけの場合どうなるかと言いますと、日本法上は離婚していることになり、ペルー法では結婚している状態、(跛行婚 といいます)になります。日本人はペルー以外では再婚できますが、ペルー人配偶者は独身証明書が得られないので、再婚が出来ない状態になります。
さて、その日の深夜、私達はリマを出発する予定でした。しかし、航空会社の都合でキャンセルになり、翌日の深夜のフライトに変更になりました。こういう場合、航空会社がとても立派なホテルやお食事を用意して下さいます。私どもも普段食べているお食事の16倍のお値段のクーポンをいただき、万歳三唱して航空会社手配のバスでホテルに向かいました。
で、バスを降りた中川が恐ろしいことに気づきました。
向かいに最高裁判所が!
手元のクーポンをあわてて見る菊谷
シェラ・・・・
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二人して知っている神様全員にお祈りしたのは言うまでもありません。
平成27年4月6日 文責 弁護士 菊谷淳子