ミモザノヘヤ

高田馬場の弁護士の日記です。

桜さく丘から  2015

普段アレな世界でアレなこととばかり向き合っておりますので、桜の時期くらいは真人間に立ち返りたいと思っています。

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年齢を重ねれば重ねるほど、桜の咲く時間が短く感じられるような気がします。 根尾の薄墨桜など、ピンで立派に咲いているものもありますが、桜はやはり団体様の方が見応えがあります。

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 さて、団体と名の付く裁判の話を。 平成19年に消費者団体訴訟制度、という制度が設けられました。これは個々の消費者が団体様で訴訟をする、というものではなく、一定の要件を満たす消費者団体が、事業者の行う不当な行為(不当な契約条項の使用、不当な勧誘行為、不当な広告表示)に対する差止請求を行う、というものです。

 具体的な事例として問題になったのは受講回数、受講予約に制限があるのに「いつでも自由に受講できます」とうたって勧誘した語学学校、不当なキャンセル料を規定した結婚式場、などです。 しかしこの制度は消費者被害を未然に防ぎ、または拡大を防止するための制度なので、「差し止め」つまりその行為をやめさせることしかできませんでした。

 ですから個々の消費者の具体的に発生した損害を回復するものではありません。個々の消費者の損害を回復するには、別途本人自身が民事訴訟を提起し、損害賠償請求をする必要があります。

 アメリカではクラス・アクションといって、とてもざっくりした言い方をすると一部の被害者だけで全体の損害賠償をするという集団訴訟の制度があります。

 しかし、この制度では「損害」がふくらみすぎ、企業の賠償負担が大きくなりすぎて国際競争力を落とす、という批判が強くあります。 そこで日本でもクラスアクション的な制度を取り入れようということで、消費者の損害回復まで踏み込んだ消費者裁判手続特例法という法律が平成25年12月に成立しました。

 おおまかにいうと①一定の要件を満たす消費者団体が②勝訴した後に、被害者に広告して被害者の申告を待ち、被害者及び損害額を裁判所が審理して賠償額を決定する、という制度をつくります、というものです。消費者の損害の回復を図るともに、企業の賠償義務の過大な拡大は防ぐ、という方針ですが、具体的な内容については3年以内に決まることになっています。期待されるところです。

 

さて、桜並木、近くでみてもきれいですねえ。 027.jpg

お弁当をこしらえ、電車にのってはるばるお花見に来て、桜を心ゆくまで堪能しております。 一人でね(ლ ^ิ౪^ิ)ლ 

 平成27年4月20日  文責 弁護士 菊谷淳子