戦慄の七夕
中国の故事です
むかしむかし人里離れた山奥に年老いた牛を飼う実直な若者がいました。素朴で実直な若者なのに山奥の寒村で嫁の来てもないことを心配した牛は、若者の行く末を案じ、知恵を授けました。
泉に天女が水浴びに来るから、こっそり羽衣を隠してしまいなさい。そして帰れなくなった天女を妻にしなさい。
若者は言われたとおりにし、天女の羽衣を隠しました。天女はさあ、天に帰ろうとして羽衣がないのに気づき、若者の家にやってきました。自称実直な若者は、羽衣は拾ったものだから返せない。一緒に暮らしてくれたらいつか返してあげるよ、と卑怯な取引をもちかけました。
羽衣がなければ帰れません、天女はしぶしぶ若者と一緒に暮らすことに同意しました。
やがて、若者と天女との間には一男一女が生まれ、はためには幸せな夫婦になりました。天女が機織りをしてくれるので、若者は仕事をやめてしまいました。彼は幸せでした。
天女はろくに話もあわない若者との生活には怒りと退屈しか感じていませんでした。
生活費を稼ぐという最低限度の魅力すらないですし、しょうがありません。
天女は牛にも、ぶっ殺してミンチに(΄◞ิ౪◟ิ‵ )、とどすぐろい気持ちを持っていましたが、殺生は天女的にNGなので、牛が死ぬのをじっと待つことにしました。
若者のことを心から案じていた賢い牛は、天女がいつか若者のよさに気づいてくれ、若者のことを愛してくれるようになるといいな…と願っていましたが、天女の自分たちを見る冷たい目つきを見て、それは無理だということを悟りました。
やがて、牛は若者に、こう言い残して死にました。
「私が死んだら皮をはぎ、黄砂をつめなさい。何かあったらそれをつかいなさい。」
何かあったらという婉曲な表現をしたのは、牛なりの思いやりでした。
賢い牛が死んだ後、天女は若者にこう頼みました。
「ひとめだけでいいので、羽衣を見せて下さいな。」
若者は、牛から止められてたしな…と躊躇しましたが、天女は
「子供が2人もいるのに、まだ信用できないのですか」と痛いところをつき、若者はそれもそうかな、と思い、羽衣を手渡しました。
羽衣を手にした天女のすることは一つでした
GO GO HEAVEN!
つづく
平成25年7月10日 文責 弁護士 菊谷淳子