ミモザノヘヤ

高田馬場の弁護士の日記です。

星と星の事情

中国各地にある昔話です。 ある若い旅人が、山の中で道に迷っていましたら、一軒の屋敷を発見。一夜の宿を借りようと訪れると、そこにはとても美しい女主人がいて、旅人をもてなします。旅人は大切にされ、美しい女主人とも深い仲になり、屋敷に住み着き、二人は夫婦同然の生活をするようになりました。 7月7日の前の晩、女主人は旅人に戸籍上の夫がいるので面倒くさいけどちょっと行ってくるわ、と言い、そして3日後に戻ってくる。 若い旅人と女主人はまた元通り一緒に仲良く暮らしましたとさ… 正しい七夕です、何か(◞≼థ≽◟◞౪◟◞≼థ≽◟) ところで、長期間別居している夫婦についてのお話です。 年金分割は婚姻期間中の半分(0.5)を請求できます。では例えば婚姻期間が20年としてその半分以上が別居中であった場合年金分割の割合は半分(0.5)より低くなるのでしょうか。 裁判所は昭和52年に婚姻し、平成6年に別居開始、平成19年に離婚が確定した夫婦の事件についてこう言っています。 「法律上の夫婦は,互いに扶助すべき義務を負っており(民法752条),仮に別居により夫婦間の具体的な行為としての協力関係が薄くなっている場合であっても,夫婦双方の生活に要する費用が夫婦の一方または双方の収入によって分担されるべきであるのと同様に,それぞれの老後等のための所得保障についても夫婦の一方または双方の収入によって同等に形成されるべき関係にある。」(東京家裁平成20年10月22日) つまり、年金分割は単に別居期間が長かったからというだけで、割合が0.5より低くなることはなく、裁判例の言葉を借りると「申立人が相手方に対し扶助を求めることが信義則に反していたというような事情」、すなわち、妻側が不貞をして出て行った等という事情が内限り、年金分割の割合を低くする特別の次条にはあたらないのです。 国民年金だと年金分割は関係ないので、自営業の織姫や彦星には関係なさそうですが… ところで、七夕の話、なんだか妙な話だと思いませんか? いくら働き者へのご褒美だと言っても、機織りしかしたことのない女性に、 牛としか会話したことのない男性。 合コンでも1次会レベルでダウンしそうな二人組です。 本当に仲良くなれたのか(΄◞ิ౪◟ิ‵ ) と思っていたら納得のできる七夕伝説がこれまた中国にございました つづく 平成25年7月7日 文責 弁護士 菊谷淳子