ありふれたジレンマ
日本国内にあまねく存在する公的機関それは裁判所ですが、
それとおなじくらい日本全国にあまねく存在する娯楽施設、
それはパチンコです。
東京から汽車でカタコト4時間かけて訪ねてきた某支部、朝10時の申し立てがそそくさとすんだものの、午後1時まで待て、といわれました。
まてって…
ここ、畑しかないですよ(`◉◞౪◟◉)
あのう…食堂もマクドもないですけど…( ՞ਊ ՞)
おいこら…いえ、あのちょっと、裁判官、あの、最寄り駅まで徒歩20分です
ちっ(`Д´) 近くの浜まで歩いてみよう、と思っていたところ
裁判所のすぐ裏に…
ところで、あまりメジャーな話は書きたくないのですが、最近私は、Uという柔道選手の準強姦事件にとても注目しています。
ネットのニュースで見る限りですが、Uは性交の事実は認めるものの、合意があった、女性から誘ったという弁解を繰り返しています。
報道の限りの情報しか知らない私見で恐縮ですが、Uの弁解がおそらく通らないだろうということ、むしろUに不利になるだろうことは、容易に想像できるところです。
Uがもし素直に罪を認めて本気で被害者に謝罪し、その上で相当のお金を支払って償い示談をしていれば、おそらく執行猶予がついただろうと思います。でもUはその反対の行動に出、反省の情など微塵もみせませんでした。実刑直行コースの王道です。こういう弁護、本当に大変です。
弁護人は被告人の主張が通るのか通らないのか、裁判所がどう見ているのか、被告人にとってどうすることがより有利なのか、ということを被告人にアドバイスするのが仕事です。
ところが時々、被告人が頑ななこだわりをもち、わざわざ不利になるような言動をすることがあります。そういうとき、できるだけの説明を尽くします。
でもどんなに一生懸命説明しても、被告人の思いがそこに至らないことがあります。
私選弁護であれば、方針が違うのであれば、辞任することができます。
しかし、国選弁護人では、そもそも選任しているのは裁判所ですから、簡単に辞任することができません。
本人の意に反する弁護はできない、しかし他方で本人の利益を図るのが弁護人の役割、そのジレンマに立たされることは決して少なくはないのです。
しかしそうなったときにどうすればいいのか、という正解は実はありません。その時その事件、そしてそれぞれの弁護士の信念によって結論が変わると思います。
私自身は原則として本人の意志に反する弁護はやはりできないと思います。しかしその前に何回か被告人と大喧嘩をするだろうなと思います。それでも本人の意思が変わらなければ仕方がないでしょう。ただ、その事件、その被告人、そしてその人の置かれている事情次第では結論が変わることはありうると思います。
ところで、私はUの事件で事件そのものよりもうひとつ非常に気になっていることがあります。
Uの態度で終始一貫しているのは、「オレは悪くない」という感心するほどの開き直りです。
それは、
何でおれだけが
何でこんなことで
という気持ちがあるからに私には思えてなりません。
その意味するところを考えますと、Uの世界で女性選手たちの置かれている暗澹たる現実を思い、やりきれない思いがします。
え、パチンコとジレンマの関係ですか?ありますとも
1時が近づくにつれツキが(`◉◞౪◟◉)…
平成25年2月6日 文責 弁護士 菊谷淳子