ミモザノヘヤ

高田馬場の弁護士の日記です。

行儀のよい嘘

最近、神様にお願いすることが一つ追加されました。 私の両親がこのブログに気づきませんように弁護士どんべえの日記」 とかにしておけばよかったのですが、事務所とリンクしていますので、そういうわけにもいきません。 しかし好き放題の生活ぶり、言いたい放題の文章、万年不良の体調、なにより、全文からにじみ出るアホさかげん。今更ですが、私の両親は頭を抱えることでしょう。  私は両親にも、そしての冗談が通じない親族にもこのブログを書いていることは秘密にしています。  さて、私が修習生だった頃、民事裁判修習で教わったのは、「肝心部分の嘘をウソでしたと当事者が認めることは絶対にない」というものでした。  「バレバレの嘘」というのは、刑事事件でもないことはないのですが、刑事事件でばればれの嘘をつきますと「反省していない」という悪情状の一つに挙げられ、間違いなく不利に判断されますから、通常は弁護人からやめなさいよといわれます。  しかし民事事件では、当事者はばればれの嘘でも真実だと言い張ります。正直なところ、裁判所がそんなばればれの嘘に騙されてくれるはずはないのですが。  よくあるのは、不貞の事実のガチ否認です。  ホテルに2人で入りました、ホテルから2時間後に二人で出てきました、という2枚の写真が証拠として提出されていても、それでも、ご本人達は部屋に入ったのが片方だけで、もう一方はロビーでずっと待っていた、などとおっしゃいます。通りません、その嘘は。  民事裁判では、反省していない情状の一つとなるようなリスクがあるわけではありませんから、言いたければ言えばいいのですが、そこをがんばっても不自然な話を作ることになるので、私見ですが、あまりいいとは思えません。他のところで真実を語っていても嘘くさくなりますから。  しかし、これは第三者裁判所の面前での場合。  あくまで私見ですが、夫婦間では、浮気がばれたが妻と(もしくは夫と)離婚したくない場合には、絶対にばればれでも嘘を突き通した方がましなように思います。ばればれでも嘘をつきとおし、墓場まで持って行く覚悟が必要です。そこまで徹底するのが嘘のマナー。途中で許しを請うなど誠実でも何でもありません。知らない方がいいことを知らせるなんてマナー違反です。  (かつてホットドッグという雑誌で連載されていた北方謙三氏の名物コラム「試みの地平線」でも同じようなことをおっしゃっておられたと思います。) ところで実は先日、帰省した折、両親から思いがけないお言葉がございました。 「インドに行ったって?」 ((((;゚Д゚))))))) 冗談の通じる親族に、相談すると        遠隔操作されたんや、て言うとき   私も肝心部分でバレバレの嘘をつかないといけないようです。     平成24年11月19日 文責 弁護士 菊谷淳子 ※ このブログをいつもお読みいただいている皆様には誤解はないかと思いますが、私は不貞を推奨ないし肯定しているわけではありません。念のため