ミモザノヘヤ

高田馬場の弁護士の日記です。

アーモンドの爆弾

 とうとう来ました近鉄奈良線東花園駅。残念ながらお仕事ですが、  私はラグビーファンなので聖地花園ラグビー場の近くというだけでわくわくします。  そもそもラグビーというのは選ばれし者のスポーツです。私のような生きていくのもやっとの致命的な運動音痴がするスポーツではありません。が、実は私の母校、構造上女子学生しかいないはずの神戸女学院では容赦なくラグビーの実技授業がありました。  やってみるとラグビーがいかに神のスポーツかわかります。バウンドするとあらぬ方向へ飛ぶアーモンド形のボール、突撃してくる牛のような同級生、ゴールは果てしなく遠いし、どんなに必死でボールを蹴飛ばしてもポールを超えません。うっかり爆弾ボールがこっちに来たらみんなこっちにむかって走ってきます。 佳人薄命 南無阿弥陀仏 幸せな人生でした。  爆弾ボールが飛んできませんように。      知っている神様全員にお祈りします。  その恐怖を味わっていますから、選手はただただ尊敬します。お前やってみろと言われてもできませんから。   さて、普段家事調停に行くたびにいつも思うのですが、調停委員というのは品行方正なおっさんオバハン、ごほ、善男善女の方々です。  離婚、破産、事故、まして犯罪のご経験など決しておありではないようにお見受けしますが、大抵ご自分の人生を成功体験としてお考えですので、世の中にはいろいろな夫婦があり、それぞれに個別的な事情があるのだということまでお察し下さる方のご尊顔を拝したことは、筆者の経験が未熟なためかただの一度もございません。  夫婦にはいろいろな個別的事情があり、何が正しいと割り切れるものではありません、1人の人間の人生経験なんて世の中の森羅万象からすれば知れています。味わってみないとわからない経験もあります。調停委員の善男善女の皆様のお考えになる「良識」が当該事案においても正しいとは限らないのです。    自らの家庭問題に半世紀以上悩み続けた大作家トルストイはこう言います    幸せな家族は大抵似たようなものだが、不幸な家庭は実に様々である。    全く同感です。  離婚の調停委員にこそ善男善女より経験豊かな方、もしくは謙虚な方、それが難しければせめて一人は他人の人生と真の落としどころを知っている熟練の弁護士にしてほしい。そうすれば裁判ではありえないようなとんでもない調停で徒に時間を経過することはなくなります。  ところで、ラグビーには割と小柄な人がなるスクラムハーフというポジションがあります。わが校の授業では小柄だというだけで、割り当てられ・・・・る何かの生贄でしたが、実は畏れ多くも神のスポーツの司令塔です。敏捷さと高度なパススキル、瞬間的な判断力・・・・生きていくのがやっとの運動音痴がいてはいけない場所。命がけの授業でした。だからこそ、今でも私はラグビー大好きです。    平成24年6月13日 文責 弁護士 菊谷淳子