ミモザノヘヤ

高田馬場の弁護士の日記です。

おひな様の蒸発②

 さて、別居親が子供と面会する権利を面会交流(以前は面接交渉と言っていました)。 まだ取り決めがない場合は、父・母の間で協議してとり決めます。しかし、父・母間の関係が悪化し協議で決まらない場合は家庭裁判所に調停を申し立てます。それで決まらなければ審判で家庭裁判所が決定します。

 ではもし、任意の合意・調停・審判において面接交渉について取り決めをしたのに別居親が合わせてもらえない場合はどうしたらよいでしょうか。

 ① 調停・審判で定められた面会交流の取り決めを相手方が守らない場合には、裁判所に申出て、「約束を守って下さいよ」という勧告をしてもらうことができます。これを履行勧告といいます。

 ② また、そもそも取り決めの見直しも可能です。再度の調停申立を行い手続きの中で解決を図ることも考えられます。

 ③ 問題となるのは、強制執行ができるのか、という点です。

 通常の判決・調停又は審判で定められた事項は債務名義となり「執行力」を有しますから相手が履行しない場合には強制的に執行することができます。金銭債権でしたら強制執行で回収しうるのです。

 面会交流条項も調停または審判により定められた場合は債務名義になりえます(定め方によってはならない場合もあります)。ただ、金銭債権などと違い、面会交流権には強制的に子供を連れてくるという方法にはなじまない、という性質があるため、あくまで一定の金銭(間接強制金)の支払を命じることで、監護親に心理的圧迫を加え、間接的に面接交渉を実現させようというものにすぎません。

 無理矢理子供と会わせるという強制執行はできないのです。 

 ④ただ、子供に会わせない監護親が子供を虐待している。あるいは適切な養育を怠っているというような極めて特殊な事情がある場合は、親権者・監護権者の変更の申立てを行うことは考えられます。ただ、会わせない、という事情だけでは無理ですが。

 子供に会いたいという別居親(特に父親)の願いを叶える方法は現在の法律では上記のとおりそれぞれ決定打と呼べるべきものがなく、子供の健全な育成という面から考えてももう少し改善されるべき面はあるでしょう。最も上記の方法が不完全であっても手続の中で裁判所の関与や代理人の関与などで面会交流を実現させることができるケースも多々あります。

 一方、面会交流には求められる監護親にとっても切実で重大な問題が発生することがあり、必ずしも強大な権利として認めるべきでない面もありますが、これについてはまた別の機会に。

 え?女びなの首ですか?

 その前の年の夏、彼らにふさわしい出番を思いついた私。そう、肝試しに首だけ御出演頂いていたことを気持よく忘れていたために、寝起きの如きぼさぼさ頭のまま七夕の箱に入っていました。記憶を頼りに捜索し、こっそり「落ちぶれてすまん」と書いた紙と一緒に元の箱に戻しておきました。父上、かたじけない。

平成24年3月3日  文責 弁護士 菊谷淳子