ミモザノヘヤ

高田馬場の弁護士の日記です。

なのはにとまれ

 先日、アブラナの花がとても可愛らしかったので事務所のデスクの一輪ざしに飾ろうと思って買ってきました。明け方ころカタカタ起案していると、はっぱがもぞもぞ動いたような。ついに目がもう閉店時間かと思ったそのとき、小さなアオムシ発見。

 有名なエリック・カールの絵本「はらぺこあおむし」から少し頂戴して、はらさんと命名し、お昼に食べるサラダのキャベツをせっせと献上しています。

  さて、あるものがある人にとっては大切なものでも他の人には耐え難いものであることはよくあることだと思います。

  そういうセンスが異なる人とはだんだん疎遠になるものですが、問題は近所や職場など、積極的に自分の意志で選べす、かといってそう簡単に変わることができない場所もあることです。そういう場所で感覚の違いによりある人が耐え難い苦痛をする場合には紛争になりえます。

  騒音、振動、におい、犬のほえ声。感覚の違いによって生じる事件は多々あります。

  しかし常にそういうもので訴訟を起こせば、社会生活はマヒしてしまいます。何もできなくなってしまいます。

 法律の世界では、そういう紛争について本当に耐えがたい苦痛であるかを判断する際 受忍限度という言葉で判断します。簡単に言うと、社会一般の考え方から「それくらいいいじゃないか」と言えるかどうか、という基準です。

具体的には、まず被害対象が生命・身体といった人身被害に至るのか、加害行為に一定の継続性があるか、規制基準がある場合にはそれを守っているか、といった面から考察されます。規制基準がない場合には感覚は従前の交渉経緯なども重視されます。

これまで裁判で争われたものには犬のほえ声(京都地裁平成3.1.24判決,判例時報1403-91)、室外機等の騒音(東京地裁昭和63.4.25判決 判例時報1274-49)、結構身近なものもあります。

 ところで、「あおむし」で飼い方を検索しようとしたら、「アオムシ 退治」とか「アオムシ 農薬」ばかり。事務員がもぞもぞ動くアオムシをみたら・・・・「はらさんです。こんにちは」と名札でもつければ見逃してくれるかなあ・・・・でもやっぱり気持ち悪いだろうなあ・・・・

 連れて帰ることを決意した私です。

平成24年3月6日  文責 弁護士 菊谷淳子