(つづき)
あれは弁護士だ・・・・
何となく、鞄みたらわかります。警察のほうに向かっているように見えるし。
と気がついた瞬間、なんと私の脚は勝手に走りだしていました。
地面以外のところを走ったのはこれが初めてです。
なぜ、そんなに急いだかというと、警察署の面会室は大体1つか2つしかなく、待たされるときは1時間、2時間は余裕で待たされるからです。後の予定に大きく響きますからこれは痛い。
損得勘定、ついに本能レベルに達してしまったようです。
さて、被疑者国選制度といって、被疑者も国選弁護人を付けることできるようになりました。これまでは起訴されてからの被告人国選のみだったのですが、被疑者段階でも弁護人を付けることができれば起訴回避に向けて十分な弁護を受けることが期待できるようになったのです。ああ素晴らしい制度です。
しかし従来から面会室の数が不足していたのに、国選制度が広がればさらに渋滞することはわかっていたはずです。その手当はなにもありません。面会室にいち早く辿り着かなければならなくなったのです。接見による時間的制約が大きくなると、接見に行きにくくなります。面会室さえもっとちゃんとあれば、気軽に接見に行けるのに。
何か制度を変えるときにはその影響を多方面にわたって考慮し、それによって不具合がないよう何らかの手当がなされるべきでないかなと思います。それによってむしろ逆効果になることも考えられるからです。
接見は被疑者にとっても弁護士にとっても重要です。だから接見がしにくくなることは本当は被疑者にとっても望ましいことではないのです。
面会室増やしてほしいなあ。
帰り、幸か不幸か、たまたま通りかかった散歩の犬(リードなし)に追いかけられ、私の脚は再び本能を制覇しました。
1月15日 文責 弁護士 菊谷 淳子