ミモザノヘヤ

高田馬場の弁護士の日記です。

上手の口上

地味な子供が目立つのは叱られるとき。そこで私は細心の注意を払ってなるべく目立たないよう心がけていました  しかし、皮肉にもスポットライトがあたってしまうこともあります。 幼稚園のときに通っていた英語塾でのクリスマスの劇の主役。 誰もやりたがらなかったその主役は マッチ売りの少女 主役というより汚れ役です(΄◞ิ౪◟ิ‵ ) さて、お話ではマッチ売りの少女は最後に大好きだったおばあさんに会えたので、持っているありったけのマッチを擦ります。どうかこの時間が少しでも長く続きますようにと必至で祈って。私にはそのシーンがこのお話で一番心にしみます。 皆さんはそういう時間を経験されたことはないですか? 五年ぶりにやっとお父さんに会えることになったまなちゃん(仮名)は、お父さんの顔をみた瞬間、お父さんと一緒に暮らしていた4歳の時に戻ってしまいました。話したいことがいっぱいいっぱいあって、でも久しぶりでどうやって話していいかわからなくて固まっていました。 実は会いに来ようとしなかったまなちゃんのお父さんを引きずり出してまなちゃんに面会させた弁護士は、もし薄情者のお父さんがまなちゃんをがっかりさせたら半殺しにしてやろうと、こっそり様子をうかがっていました。 でもまなちゃんは、すぐに笑顔になってお父さんと手をつないで歩いて行きました。ほっとしました。 時間になって、まなちゃんは、お父さんの写真をいっぱいいっぱいとって帰ってきました。 きっとまなちゃんは、マッチ売りの少女の様に、一生懸命、この時間が少しでも長く、長く続きますように、と祈っていたのかな、と思うと胸が痛みます。 残念ながら、面会交流は子供の権利として正面から規定されていません。従って会おうとしない親に会いに来させる方法が法律で規定されているわけではありません。 親が子供に会いたがらない、ということが本当にあるの?と思われるかもしれません。残念ながら少なからずあります。 幸せな親子は似たようなものですが、そうでない親子は本当に様々なのです。 さて、人生最初で最後の主役なのに、マッチ売りの少女の話を何度読んでも当時の私にはどうしても共感できませんでした。もっと売り方を工夫すればよかったのに・・・・ そんな私に先生はあなたらしいマッチ売りの少女を演じればいいのです、と力強くおっしゃいました。 いいんですか(΄◞ิ౪◟ิ‵ ) 私は、それならばと心ゆくまで「私らしいマッチ売りの少女」を演じました。 客席に愛想笑いを浮かべ、こう言って歩きました。 マッチはいりませんか。 燃やしたいものありませんか(΄◞ิ౪◟ิ‵ )   マッチはいりませんか。 燃やしたいものあるんでしょ(΄◞ิ౪◟ิ‵ ) その名演技は英語塾始まって以来の、そして後世に語り継がれる黒歴史となりました。  平成26年12月12日   文責 弁護士 菊谷淳子 ※ デザインをクリスマスバージョンに変更しました★更新お願いしま~す