命の忘れ物
携帯が行方不明になりました。
私は携帯電話が苦手です。事務所との連絡くらいにしか使っていなかったので、いなくなったことにもしばらく気がついていなかったのですが、そういえば1週間くらい見なかった気がします。
見つからなくてもいいのですが探してみましたものの、事務所にも自宅にもありません。
そうなるとさすがに心配になり、中川に言われて1週間くらいまえから時間をたどってみました。
最後に電話をかけたのは、事務所にですが、それは確か…
ある裁判所に向かうところで…
乗っていた電車が人身事故を起こし
当分運転は見合わせますから外に出て下さい、と言われ、
「救助活動」の現場横で事務所に電話をかけた…
まさか(΄◞ิ౪◟ิ‵ )
まだそこにあってもアレですが、他人様の遺留品に混じっていても…
さて、忘れ物、すなわち遺失物は、遺失物法という法律に基づき、届けられれば警察署にて3ヶ月間は保管されます(平成19年に改正されましたが、以前は6ヶ月でした)
犬や猫などのペットがこの「遺失物」として扱われるのかと言いますと、「脱走した家畜」であれば「遺失物」にあたります。ただし、普通の遺失物とはことなり保管にえさ代などがかかるため保管期間は2週間です。しかし、まだこの場合は飼い主のところに戻ることができる可能性が高いのです。
「遺失物」にあたらないペットは動物愛護法35条で都道府県に渡され、各自治体のセンターに収容されます。法律上の収容期間はわずか2日間。保管期間は自治体によって異なりますが3日から5日くらいのところが多いようです。
「遺失物」にあたるか否かはそのペットにとって運命を分ける重要なことなのですが、「脱走した家畜」であるかどうかは「身元の表示があるかどうか」、具体的には犬の鑑札や注射済票、迷子札、マイクチップの装着、名札などがあることを言います。
「飼われていることは確かだが飼い主が誰かわからない」な場合は「脱走した家畜」には含まれません。つまり、首輪をつけているとか洋服をきせられているとか、では野良と同じ扱いになります。
迷いペットの運命はこのほか拾った人が預かってくれるかでも大きく違ってくるのですが、身元を示すものを付けているか、でこれほど運命が変わるのです。
ちなみに空港で多い忘れ物はペットだそうです。しかしその多くは遺棄目的でないかとも言われています。飼い主さんとの外出にわくわくしてやってきたペットが知らずに飼い主を待っているのかなと思うと心が痛みます。
ところで、携帯電話は一週間ぶりに意外な場所から見つかりました。
自宅冷蔵庫の中、ビールの隣でキンキンに冷えていました。
冷蔵庫で一週間ぶりという点になぜかボス(⊙◞౪◟⊙)は首をかしげています。
平成26年2月24日 文責 弁護士 菊谷淳子