ミモザノヘヤ

高田馬場の弁護士の日記です。

恐怖の贈り物

恐ろしげなプレゼントが届いていました。 (◞≼●≽◟◞౪◟◞≼●≽◟) ちょうど人が腰をかがめたような形と大きさの包みで、 よろよろと抱えて階段を上るとき隣の人に出くわしました。 隣の人は口には出しませんでしたが、空気は言っていました。 誰の死体? (΄◞ิ౪◟ิ‵) そのままおいておくとなんだか自分で起き上がってきそうで恐ろしかったので おそるおそるあけてみました。 大きな抱き枕でした。 大きすぎて抱えるのが難しく、失敗を繰り返した後 狭くなった布団の中で小さくなって夜を明かしました。 さて、よく交際中の男女間で(主として)男性から女性に贈り物をすることがあります。女性から別れを切り出されたときに、男性が贈り物を返せということはできません。なぜならすでに履行のすんでしまった贈与(民法550条ただし)なので撤回できないからです。 だいたいそんな請求するようなやつだから…、という世間の冷たい言葉はさておき、 贈り物といっても大きな贈り物の場合があります。 不動産です。 でも不動産などをあげてしまうような場合は、だいたい男女関係といっても後ろ暗いところのある関係、いわゆる愛人関係などの場合が多いと思います。 愛人への愛人関係継続を目的とする贈与は公の秩序善良の風俗に反する行為ですから、本来は無効です。が、では返してもらえるのかというと、すでに贈与してしまったものについては不法原因給付(民法708条本文)と言って返還請求することができなくなります。 有名な最高裁判例もこう言っています。 「みずから反社会的な行為をした者に対しては、その行為の結果の復旧を訴求することを許さない趣旨を規定したものと認められるから、給付者は、不当利得に基づく返還請求をすることが許されないばかりでなく、目的物の所有権が自己にあることを理由として、給付した物の返還を請求することも許されない筋合である」(最大判 昭和45年10月21日) 「許されない筋合である」という文言、最高裁に「ちっちゃい男だな(΄◞ิ౪◟ิ‵)」と言われているような気がします。  惜しいならやるな。 さて、最後にお礼を言いたいのですが、 これ送ってくださったのは どなたでしょうか(΄◞ิ౪◟ิ‵) 平成25年4月24日   文責 弁護士 菊谷淳子