夢枕の教え
昭和生まれの老金魚金さん(平成23年没)は、言葉こそ発しませんでしたが、水槽の掃除を要求するときは水槽の左端で、えさがほしいときは右端で踊り、インテリアが気に入らない時は力尽くで灯籠を逆だて、横暴ぶりを極めるとともに、意思表示を頻繁に人間どもに送るのに余念がありませんでした。
金さん没後2年、私など日に何通もメールを送り、何度も電話をし、何回も連絡文書を作成しているのに、私信はなかなか送ることができません。職業柄、言わなくてもわかるだろう、なんていうのは甘えに過ぎず、言わないと大変なことになることの方が多いということは身にしみてわかっているのですが。
そんな毎日に活を入れるためか、
ついに、金さん夢枕に立つ(΄◞ิ౪◟ิ‵ )
しんだじいちゃんではなく…
ところで、刑事事件では、情状証人といって被告人の家族などの来てもらい、裁判所の前で被告人への今後の監督を約束してもらうことがあります。被告人との一定の関係が大事ですから当然、被告人の両親や、兄弟、妻や子など近い親族が立つことが多いです。
監督する前提として、被告人への思いを述べてもらいます。
家族の気持ちを初めてその時に知る被告人もいます。
少なくともそのときには、家族のありがたさを思い知り、大切にしたいと思う被告人は多いと思います。
被告人もそのときは少なくとも感謝の言葉を述べます。
その後もそうであってほしいなと思います。ちゃんと言葉を交わすことを忘れずに。
言わないとわからないし、忘れてしまいますから。
さて、金さんに促されたわけではありませんが、
実は今日私は両親に伝えなければならないことがあります。
ただ日頃の親不孝ぶりが災いし、面と向かって言ったり、手紙をだしてしまったりしますと、
また物騒な国に旅にでも…(΄◞ิ౪◟ิ‵ )
と疑いをもたれそうですので、あえてこっそり書いておきます。
生んでくれてありがとう
育ててくれてありがとう
見守ってくれてありがとう
また帰ります
平成25年4月22日 淳子