ミモザノヘヤ

高田馬場の弁護士の日記です。

恐怖の翼

飛行機が落ちる夢を見た日の午後、羽田発伊丹行きに乗りました。便名はかの有名な1●3便とよく似た133便。 使用機の到着が遅れて、出発時間が25分遅れ。 到着時刻は50分遅れでしたが、大丈夫ですか?そんなに早く出発して 準備はちゃんとしましょうよ… あの、もうちょっと待ってもいいですよ(`◉◞౪◟◉) 待とうよ ƪ(΄◞ิ۝◟ิ‵)ʃ、 ところで、契約を交わした後にその契約がどちらかの責任でおじゃんになった場合には契約に基づく損害賠償責任の対象となります。 では、たとえば、ある人AさんをB社が雇うという雇用契約を正式に締結する前にAさんがB社に入社するために、勤務先を退職してしまった場合、AさんはB社に何も請求できないのでしょうか。 AさんとB社はまだ雇用契約を締結していないし、AさんはB社に雇用されるであろうと勝手に期待しただけのようにも思えます。 実は、契約を正式に締結していない準備段階ても、これから契約関係になろうとする者同士は、権利の行使や義務の履行を信義に従い誠実にこれをなすべきという信義誠実の原則(民法1条2項)の適用される関係にあります。そして信義誠実上の義務を尽くさず、過失により相手方に損害が生じた場合には、この損害を賠償する責任が生じます。これを契約締結上の過失(契約準備段階の過失)といいます。 従いまして、正式な契約締結に至っていない単なる準備段階ても、AさんはB社に責任を問うことができる場合が あります。責任を問えるのは、AさんがB社の採用が確実だと誤解したことについてB社に上記のような過失がある場合です。 実際にAさんとB社のような場合でAさんの訴えを認めた裁判例があります(東京高判昭61.10.14 ただしAさんもB社の意向を確かめてから前職を退社すべきだったとして7割の過失相殺をしている点に要注意です) さて、異様な早い出発に疑問を持ちながら機内に入って席に着くと、窓に小さな傷とも汚れともつかないものが… 機内放送のチャンネルを押すと ジョン・デンバー(1997年飛行機事故で死亡) 別のチャンネルを押すと 懐かしのアメリカンポップ  リッキーネルソン(1987年飛行機事故で死亡) 朗読 向田邦子の随筆(1981年 飛行機事故で死亡) クラッシック レクイエム なんか、こう、 全てがおいでおいでしているような(΄◞ิ౪◟ิ‵ ) 伊丹までの小一時間、コーヒーもそこそこに 一心不乱にキコキコ窓を拭いていた私、 そしてその私を見て目が合わないふりをしていたCA…  恐怖とは想像の産物です。    平成25年2月18日  文責 弁護士 菊谷淳子