ミモザノヘヤ

高田馬場の弁護士の日記です。

戦慄のフィールドマップ

 keyakilaw-2013-01-14T01 00 58-2.JPG  久しぶりに大学時代の同級生が集まりまして、ちょっとドライブすることになりました。それぞれ個性豊かな職業でして、僧侶、バイヤー、振付師。なんか、こう、 戦士のいないドラクエ みたいな大変攻撃力の乏しい御一行様ですがさらに頼りないことに、振付師は腰が痛く、商人は前日飲み過ぎ、僧侶は免停中。そのため運転しているのは八墓村で2か月もかけて取得した奇跡の合宿免許のわたくしです。 ところで、好意で人を乗せることを好意同乗といいますが、たとえば運転者の過失で同乗者に怪我をさせてしまった場合、好意で乗せてもらっていた同乗者は全額損害賠償を請求できるのでしょうか。それとも好意で乗せてもらったということを理由に減額されるのでしょうか。 という問題提起だけすると、減額されなければおかしいとお感じになる方もいらっしゃると思います。しかし、実はこう問いかけると印象がかわるかもしれません。 同乗者から請求を受けた保険会社(運転者加入)が好意同乗を理由に減額を主張できるか。 実は、昭和40年代後半から昭和50年代前半の裁判例では無償の好意同乗で大幅な減額を認めていたようです。しかし現在の裁判例は原則として好意同乗そのものを理由とする減額を認めていません。判例が好意同乗での減額を認める場合は、同乗者自身に一定の過失がある場合です。たとえば一緒に飲んだ後に長距離のドライブをし、飲酒を続ける運転手に飲酒も運転もやめるように促さなかった(東京地判平10.6.24)という例があります。そこまでの過失があってやっと3割の過失相殺です。 しかし現在でも、保険会社は昔の裁判例が好意同乗で減額を認めていたことを理由に、2割くらいの過失を主張してきます。そして裁判例でも減額を認めていますから…なんて説明するのです。提訴されれば基本的に保険会社のそんな主張は認められないのですが。    それにしてもみなさん、どうしてそんなお通夜のような顔をしていらっしゃるのかしら。   誰ですか、法律守ってくれって人聞きの悪い  読経やめなさい    そんな顔していると減額されますよ。ふふふ。  わたくしに運転を任せたことに大いなる過失ありって。  冒険ですよ。冒険。人生はダンジョンの連続です。    平成25年1月18日  文責 あそびにん