ミモザノヘヤ

高田馬場の弁護士の日記です。

間抜けの数列 2

  待ち合わせの時刻が刻々と迫るが、どのロッカーだか全く思い出せない。 相変わらず変なアイデアしか浮かびません    あののれんつかえないかな 別の心配も 今フロントに電話したら    酔っぱらっている、 と間違えられないだろうか・・・・  さて、お風呂の話です。  日本の公衆浴場には、よく「入れ墨の方、泥酔した方はご入浴をお断りします」という張り紙がありますが、そう遠くない昔、  JAPANESE  ONLY  と表示して、外国人をお断りしていた銭湯の経営会社A社とその浴場のあったO市が訴えられた事件がありました。このA社は開業当時は外国人にも入浴を認め、制限してはいませんでした。しかしそうしたところロシア人船員が大勢訪れ、風呂で酒をのむわ、石鹸をつけたまま湯船にはいるわ、土足で脱衣場にはいるわ、やりたい放題。日本人客が激減し、とうとう系列の銭湯を廃業せざるをえなくなったという事態が発生しました。そこで、A社は上記の表示をして、営業していました。  そこに、その噂を聞きつけた白人の日本人(帰化した日本人)が数名、新聞記者も引き連れて、この浴場にはるばるやってきて、入浴を求めました。   かれらは日本国籍を取得しているので、外国人ではありません。  しかし、外見は白人ですから店が入店を断ったところ、人種差別だ!と大騒ぎ(予想していたはずですが)になり、人権侵害だから提訴した、というものです。  第一審は、A社の事情はよくわかるけれども公衆浴場としての性質から入浴制限は最小限度にしないといけません、A社は見た目だけで一律に外国人を排除するのではなく、迷惑をかけそうではない外国人には認めてもいいはずですよ、と100万円もの慰謝料を認めました。  白人側は100万円では不満だ200万円だといって控訴しましたが控訴棄却、上告受理申立までしましたが認められませんでした。  この日本人ご一行様は、外見での外人差別をなくそうと、まじめに取り組んでいる方々のようです。  ただ、こういう方法でしか、外人差別をなくせないものでしょうか。  そもそも、外国人にも日本の入浴ルールを守るよう啓発活動を行う努力はしていたのでしょうか。  本当に差別をなくしたいと思うのであれば、差別の理由を探り、その理由をなくす努力も必要でないかと思います。  判決は公衆浴場の公共性についてのべていますが、  日頃この銭湯を使うことのないこの方々のご尽力により、件のロシア人船員も大勢戻ってきてこの浴場まで廃業に追い込まれれば、そもそもご近所の方の公衆衛生には・・・・と私は思うのですが・・・・  日本の公衆浴場文化は他国のそれとはかなり大きく違います。営業する者にとっては、日本のルールにのとって利用してほしい、と願うのは当然のことです。わずか数百円の入浴料しか取っていない銭湯に、場所柄大量にやってくるおそれのある外国人にいちいち入浴の指導をしろ、というのは、いささか酷でないかと私は思います。あくまで私見です。      私は、外国で「アジア人オコトワリ」を見たら、理由を尋ね、その理由が自分に当てはまらない理不尽なものであるときはまずその旨説得を試みますが・・・・・      さて、人様のことより  風呂場に戻り観察してみると、2人連れ、2人連れ、3人連れ、4人連れ・・・・おお、そうか  一個だけ使用されているロッカーを探し、ぽつねんとした場所のロッカーを開けてみました  自信はなかったです。ええ、犯罪者のような気分でした。  10年ぶりに会った友達より、10分ぶりに会った自分の服の懐かしかったこと      平成25年1月13日 文責 弁護士 菊谷淳子