ミモザノヘヤ

高田馬場の弁護士の日記です。

泳げダキン

 私が飼った金魚の中で1番長生きだった昭和生まれの老金魚「金さん」(平成23年没)金魚すくい出身の正当派駄金でしたが、もりもり餌を食べ、水槽を叩いて定期的に掃除を要求し、掃除をすれば直後に備品をひっくり返し、おやつは優雅にバンホーテンココア。

  最後は体長約25センチの煮魚レベル。病弱で抗生物質をガンガン飲ませてしまい食用には適しなかったのが悔やまれてなりません。

 人間で言えば100歳を越えていたであろう彼は、最期までぼけもせず、眼も黒く、食いしん坊で乱暴者でした。

 

  最期まで自分らしく生きることはそう簡単ではないとつくづく思います。

  私の祖母がそうですが、少しずつ、できないこと、自分だけではどうにもならないことが増えていきます。そしてそれを補うものがどこまであるか、それが最期まで自分らしく生きるための条件でないかと思います。

  法律の世界では、財産管理と身上監護を第三者に委ねる成年後見制度が設けられています。これは「できなくなったこと」を補う制度です。後見人は、医療、住居の確保、介護・生活維持、施設の入退所・費用の支払い・教育・リハビリに関する契約締結、相手方の履行監視の7項目を身上監護として自身の責任で行います。

 この制度で一番大切なのは、誰に委ねるべきか、ということです。

 委ねるべき相手は通常は家族であることが多いのですが、家族関係の多様化により必ずしも家族に適任者がいるとはかぎりません。

 委ねることができる人的関係を作っておくこと、そして誰に委ねるかの意思表示をはっきりさせておくこと、これらは老後に備えて資産を形成するより大事な支度かもしれません。

 そしてもう一つ大切なことは多くの人には意思表示すら自由にできなくなる時が来るということ。私の祖母も会う度に意思表示が難しくなっています。時が経つにつれてできなくなることはあってもその逆はありません。ですから、意思表示は前もってきちんとしておく必要があるのです。

 

 私の任意成年後見人は同僚の予定です。

 彼女には私よりできるだけ健康に、かつ長生きしてもらわねばなりません。

 ところで、次は、ふぐを飼いたいです。ふぐなら大きくして・・・・

    平成24年3月23日 文責 弁護士 菊谷淳子