ミモザノヘヤ

高田馬場の弁護士の日記です。

見つめ合う親子

DSC_0236.JPG法務省地下、滅多に行きませんが行くときは必ず立ち寄るお店があります。

キャピック(刑務作業製品)のお店です。

ここでは各地の刑務所で作られた製品が売られています。丁寧に作られた製品が多いですし、お値段も安め。これを作っている人に少しでも励みになればと言う気持ちで毎回何か買っています。

今回とても気になった商品は秋田刑務所で作られた見つめあうスワンの親子です。

刑事事件でつくづく感じることは家族に恵まれている被疑者・被告人は当たり前ではないと言うことです。

好きで自ら犯罪者になるひとは滅多にいないと思います。誰だって順風満帆な人生を望んでいるはずです。でも残念ながらすべての人に家庭やお金や周囲の愛情や教育を受けられる環境といったものが平等にあるわけではなく、中にはその多くに恵まれない人もいます。そして刑事被告人には家族に恵まれていない人が本当に多いのです。面会に来てくれる人のない被疑者・被告人はたくさんいます。

また、刑事事件を起こしたことで家族から縁を切られる人もいます。家族もまた別の苦しみを背負うこともあります。

このスワンを作った人には迎えてくれる家族はいるのだろうか、どんな思いで見つめ合う親子の像を作ったのか考えると胸の痛くなる気持ちがします。

刑を終えたのち、その彼又は彼女を迎えてくれる家族がどうかいますようにと祈る思いです。

  平成24年3月16日 文責 弁護士菊谷淳子