ミモザノヘヤ

高田馬場の弁護士の日記です。

正確な間違い

たいして子ども好きではありませんが、人気はそこそこあります。

 

友人の息子K太(4歳)がピアノを習い始めたというので、ついどれどれ、っとちょっと眼の前で弾いてみせると、普段私のことを妖怪か魔人と認識しているK太は予想以上に驚嘆していました。

 

まるでチンパンジーが算数を解くのを目撃したかのように(΄◞ิ౪◟ิ‵ )

 

K太はここで自分が魔人に勝たなければいつか地球を侵略されると思ったのか、毎日一生懸命練習するようになり、時々進捗を報告してくれます。 魔人としては簡単に地球侵略の夢を諦めるわけにはいきませんから、しばらくはK太の前に立ちふさがるつもりですが、困った。

 実は私、譜面通りに弾くのは苦手。クラッシック音楽は無駄に長いように思えて、この音がない方がいいとか、このフレーズいらないとか適当にはしょったりアレンジして弾いてしまうからです。

 

 さて、私どもは、契約書のチェックなども随時行っています。 契約書で使用される文言はできるだけ法律用語を使い、後日紛争にならないように定義のあいまいなものは明確に、とチェックするのですが、意外に契約書中に無造作に使われている文言があります。

「ものとする」

 1 甲は乙に○○を支払う。 2 甲は乙に○○を支払うものとする。 なんとなく格好が付くという理由で2を使っている場合が結構あるのではと思います。しかし実は法律用語では「ものとする」は「しなければならない」に近い弱い義務付けだとされています。

 ですから規定する際には、不用意につけてしまうのではなく「しなければならない」に近い性質のものかどうかを考えて付ける必要があります。

 裁判上の和解では余計な文言がついて強制執行ができなくなるものもありますから最新の注意を払うくらいです。 というわけで、単なる語尾ひとつとっても、契約書の文言は非常に大事です。 まして自分たちの言葉で規定する契約書は大事です。 ですから、私は日本社会で不完全な社内英語や不用意な英文契約書が飛び交うということに、非常に危機感を感じています。

 さて、自分は赤信号を歩いても子どもには青信号を渡って欲しいと思う大人がいるように、私はK太にはクラッシックを正確に全うに弾いて欲しいなと願っています。

 そんな私が彼の前に立ちはだかることができるのはせいぜいあと10年くらいだろうと思います。でも魔人は諦めません。その後3年ほどは秘策があります。

 

今のうちにせっせとアニメやゲームの名曲の鉄壁のアレンジ曲をストックしておくつもりです(΄◞ิ౪◟ิ‵ )        

  平成29年6月27日 文責  弁護士 菊谷 淳子