ミモザノヘヤ

高田馬場の弁護士の日記です。

理由のある引き算

今年は2日までは日本におります。おせちくらい食べて出国したいものです。 そこで1月1日午前4時、事務所から帰宅する前におせちの材料を調達しようと、スーパーに立ち寄りました。知られざる高級住宅街高田馬場、スーパーはプリン1個250円という世界最高水準の物価を誇るお高級食料品店成城石井しかありません。 主たるお煮しめは自分ですでにこしらえたので、あと欲しいのは、卵焼き、昆布巻、ごまめ、かまぼこ、伊達巻き、えび、数の子。このうちどうしても入手したいのは伊達巻きです。これがないと正月が来た気がしません。 お成城石井はとても敷居の高い店ですが、24時間のうち数時間は私にも手の届く店になります。今は午前4時。そろそろ大好きな 半額 シールが貼られる頃合い 読みは当たっていました。 かまぼこ 半額 えび   30%引き ごまめ  半額 昆布巻き 30%引き たまごやき 半額 かずのこ  10%引き (ლ ^ิ౪^ิ)ლ 万歳三唱するところでした。しかし、 1本しか残っていない伊達巻き(1500円)には何のシールも貼っていません。 どれだけ眺めても 1500円・・・・(つิ益^ิ`。) 1500円・・・・(つิ益^ิ`。) やっぱり1500円・・・(◞≼●≽◟◞౪◟◞≼●≽◟) さて、例えば、留守番の女児を狙って何度も強姦事件を起こした被告人の判決があったとします。 新聞の見出しにはこんな感じで報道されます「裁判所は、留守番の女児を狙った極悪非道な犯行で情状酌量の余地はないとして、懲役16年を言い渡した」 さて、これは厳しい判決なのでしょうか。 16年は長いから重いでしょうか? 弁護士がその判決が厳しいかどうかを判断する時に気になるのは求刑が何年だったのかです。実は上記同様の事件での検察官の求刑は23年。なぜ7年も差し引いたのかその事情がとても気になります。検察官の求刑は検察官が本件被告人に相当と思って主張するものです。7年も差し引いた、のなら「情状酌量の余地はあった」というのが正しいのではないでしょうか。 新聞報道などでは16年、とかその年数だけでさも厳しい判決のようにかき立てるものがあります。しかしそれは誤りです。確かに時間の長さは大切です。しかし判決として厳しいかどうか、それは検察官が当該被告人に相当と思って求刑した期間から差し引くべき正当な事情をちゃんと判断してのものか、によると私は思います。 さて、なんとしても伊達巻きが食べたかった私はいろいろと引き算をしました。 たまごやきは自分で作ろう かまぼこはたくあんで代用 数の子はお高いのでやめよう 腰が曲がるまで生きてもろくな事はないので海老もいらない。 塩分はひかえよう。ごまめと昆布巻きはなし そして1500円もする伊達巻き1本にかけるか、迷いながら何度も何度も行ったり来たりしていました。 と、そのとき、後ろから入ってきたおばちゃんが伊達巻きを掴んでいきました (◞≼・≽◟◞౪◟◞≼・≽◟) お正月はあっけなく去っていきました。 謹賀新年、臥薪嘗胆。    平成27年1月2日   文責 弁護士 菊谷淳子