季節外れのサンタ
数年前のことです。乗り継ぎで到着した北ヨーロッパのとある空港。入管のゲートにさしかかった私に、ゲートのお兄さんがにこやかに
안녕하세요?
アンニョンハセヨ?
(お元気?)
(◞≼●≽◟◞౪◟◞≼●≽◟)
お白人に有色人種イエローの区別は難しいのでしょう。私だってベルギー人とイタリア人の区別はつきませんもの。お互いさま。しかし、コンニチハって返したら嫌味かな、しらけさせるだろうな。それっ!
と瞬時に判断した私は愛想良く答えました。
안녕하세요!
アンニョンハセヨ!
(お元気ですよ)
で、パスポートを渡すと、おにさん、いやおにいさんはとても厳しい顔をして言いました。
ちょっと別室でお話を伺います
さて、国境を越えるのは人だけではありません。
日本国内のサーバーで保管されているわいせつな画像を日本にいる顧客がダウンロードした場合に、日本の刑法ではわいせつ図画頒布罪(刑法175条1項後段)が成立しますが、ではこの画像が
アメリカのサーバーで保管されている場合は、日本の法律で裁くことができるのでしょうか。
処罰されるのは「頒布」する行為、でも国内で行ったダウンロードって受信だけではないでしょうか。
実は裁判例は、顧客によるダウンロード行為も、サイト運営者にとって予定された「送信行為」の手段であって「交付」の一部を形成するだから、「頒布」にあたると判断し、国内犯として処罰できるとしています。(東京高判平成25年2月22日)
もっとも、データを「保管」することについてアメリカに処罰規定があればアメリカの刑法にも抵触する可能性はあります。その方がおとろしいことになりそうな気もしますが・・・・
さて、ちょっと気使っただけなのに別室で尋問を受けることになった気の毒な私( ◉◞౪◟◉)。
寒いところの人は冗談が通じない、と中川がよく言ってたっけ・・・・。法テラスにも銀行にもしたことないくらい猛烈に反撃しましたが、不正旅券使用の疑いはいっこうに晴れません。
お話を続けること小一時間、予想もしない救いの神様が現れました。(続く)
平成26年10月1日 文責 弁護士 菊谷淳子