ミモザノヘヤ

高田馬場の弁護士の日記です。

人喰鳥の鳴くころに

人間以外限定で動物は大好きですが、旅人ですので飼いません。 そんな私ですが先日、海外旅行に出かける友人からペットを預かってくれと頼まれました。名前はピーちゃん。手のりできるそうです手(パー) 期間限定でペット飼える絶好のチャンス!ほくほくしてお待ち申し上げておりました。 が、当日。 友人 旦那に預けて死んじゃうといけないから。   そりゃあ心配ですねえ。以前何か? 友人 たいしたことないのよ。旦那の頭をついばんで流血の惨事になっただけ。   いっ?(◞≼●≽◟◞౪◟◞≼●≽◟) 友人は目つきがすこぶる悪く、くちばしの鋭く、脚の太い殺人ミミズクを置いていきました。私と人喰鳥との間に絆はできるのか・・・・  ところで、先日最高裁判所が、DNA鑑定上は明らかに別の男性の子と認められるのに法律上は別の男性の子として戸籍にのせてもかまわん、くるしゅうない。という判決を3つの事件でだしました。  この判決のことを書いた記事に「親子の絆は血のつながりだけなのか否か、に裁判所が判断を下す」みたいなことが書かれていたものがありましたが、それは間違いです。  最高裁判所は、親子の絆云々を判示して結論を出したのでありません。  取消訴訟の要件をそもそも満たさないよ、といっただけです。  どういうことかと言いますと、「親子関係不存在の訴え」は刑務所に入っていたとか海外渡航をしていたとかでどう考えても母がその男性と交渉がないだろうという客観的状況を必要とします。が、母が中途半端にその男性とも関係を持っていたら、それは満たさない、だからだめ。というだけです。親子の絆なんか論じてはいません。  そうしますと生物学上は全く他人であっても法律上は父と子ですから、法律上の義務が生じます。月々決まった養育費を請求できる権利が子供に発生します。他人の子のために養育費を払ってももいい、というすてきな男性がまだ日本にいるのですね、と喜んでいる場合ではありません。  法律上の父が、今は本当のお父さんとお母さんと平和に暮らしている子供に「会いたい」と言って執拗に面会交流を求めてきたら・・・・どうしたらいいのでしょうか。  我が国の裁判所の考え方は、そういう個人的なことは自分でね、というものですから、そういうときには自衛するしかありません。さっさと養子縁組してしまうのです。  正直な私の感想ですが、がむしゃらに「親子の絆」を振りかざし真実とは齟齬のある「法律上の父」にこだわるのが、本当にその子の幸せを願う方のすることには到底思えません。 さて 親子の絆に憧れるわたくしですが、まずは一宿一飯の義理からチャレンジです。 「はむかった場合はトリ肉にしてもかまいません。」という飼い主の念書を握っている私に、ピーちゃんはとても友好的です。   将来鶴の恩返しを大変期待しておりますが、鶴のしかえしに成らないように気をつけなければ。へへへ。    平成26年7月22日 文責  弁護士 菊谷淳子