ミモザノヘヤ

高田馬場の弁護士の日記です。

手軽の代償

白夜の季節、北欧の夏至のお祭りのおまじないで、月桂樹の若葉を7枚、枕の下に引いて眠ると、将来の自分を夢に見るのだそうです。 私も小学生の時にやってみました。 カレーの煮込み用乾燥ローリエ(238円)で 枕の下にひきますと ぺりっと不吉な音が(΄◞ิ౪◟ิ‵ ) さて今日はおまじないの代行のお話です。 必ず相手を呪い殺します、という対文句の呪いの代行業者にお金を払ったが、相手が死なない、そういう場合に支払ったお金を返せといえるのでしょうか。 よく法律系のサイトでは、人を殺す呪いをかけるのは、公序良俗違反の契約でそもそも無効。請求されても支払う義務はない、と書かれています。 が、インターネットで見ますと、そういう業者は結構あるようです。無効になるのなら商売にはならないはずですが、どうしてでしょうか。 実は、請求されても払う必要のないお金ですが、だからといって一旦払ってしまった場合返せということはできません。これは、人を呪い殺すという、依頼する側もろくでもない原因でお金を払っているのだから、もはや返してもらうことはできないんだよ~という民法が定める自業自得の精神、「不法原因給付」という条文のためです。 こういうものはその性質上料金は前払いです。ですから、払ってしまったものを返せ、という場面が圧倒的に多いと思います。ですから、返してもらえません、その理由はね…というのが前述のかえしてもらえない理論です。  ※ただし、この不法原因給付といっても法外な金額だと返還義務がありうるとは思います。   ところでもしHPのうたい文句が「効果は保証しません、儀式代行します」というばっさりなものだったら単なる儀式の代行ですから、公序良俗違反にはならず、有効と解する余地はあるのではないか・・・と個人的には思います。売れないかもしれませんが…  でもこういうものの本質は、自分自信を犠牲にする覚悟を持ち、手間暇をかけ、苦労を厭わず行うからこそ怖いように思うのは私だけでしょうか。  さて、乾燥ローリエ手軽に大事な将来の夢を見ようとした私。  見ましたとも。  いい年をした自分が  鍵を忘れてベランダから自宅に侵入しようとしている夢を(΄◞ิ౪◟ิ‵ ) 平成26年6月20日 文責 弁護士 菊谷淳子