星の国から⑧ 軽やかなる誹謗
来る日も来る日も中川と歩き回りましたので、2人ともすっかり足がくたばってしまいました。そこで、この国に来たときから目をつけていたショッピングモールの中の華系の足裏マッサージに出掛けました。
怪しげな健康器具。怪しげなお香の香り。
そして怪しげな日本語を操る中国系マッサージ師のお兄さんたち。
効き目ありそうなムード満点です。
さっそくマッサージ開始。
途中で、隣の中川が、「いたた…」とうめいています。
お兄さん それ、頭ね…
やっぱり疲れているんだねえ…
しかしそのとき、予想もしない言葉が…
お兄さん くるくるパーね
今なんて(◞≼●≽◟◞౪◟◞≼●≽◟)?
驚く間もなく、また聞こえてきました。
アナザーお兄さん くるくるパーね
中川 ZZZZZZZZZ…
中川、寝るな、怒れ(΄◞ิ౪◟ิ‵ )
さて、相手を誹謗中傷する言葉は名誉毀損(民法710条、723条、刑法230条)として民事上の損害賠償責任の対象のみならず刑事罰の可能性もあるのですが、これが職場で上司から部下に対して発せられたものであればパワハラにもなり得ます。これで働けなくなりましたら逸失利益も発生する場合があります。
しかし私がいつも疑問に思うのは、そういったいじめを受けてたとえば自殺した場合、被害者のたとえば内向的な性質が結果発生に起因したとして過失相殺の法理が類推適用されることが少なからずあることです。
そもそも誹謗中傷は、内向的だったり、立場が弱かったりする対象を選んでする行為です。
極端な話ですが、強制収容所に入れられる恐怖を味わいながら権力者に対してする誹謗中傷とは違うのです。いじめという行為がどういう対象に対して行われるのか、ということを考えれば、過失相殺の類推適用には配慮があってほしいなと思います。
さて、マッサージが気持ちよかったのか寝入ってしまった中川。しかしお兄さんの攻撃は続きます。
お兄さん アナタ(菊谷)食べる、飲む、好きね。痛風ね。かわいそうね、いい漢方あるよ
いや違いますって…
天王寺公園の露天で売ってそうな磁気テープを足にはることを勧められました。
こんなテープなんか張ったら
ますます縁遠くなります(΄◞ิ౪◟ิ‵ )
そして、痛い痛いマッサージは終わりました。
マッサージは本当によく効きました。心は重く、しかし足はとても軽くなりました。
でも…
でも…
菊谷は通風ではありません。そして中川はくるくるパーではありません。
平成25年4月9日 文責 弁護士 菊谷淳子